
殺[ころ]されるに決まっていると思ったコウモリは、「どうか、命だけは助けて下さい」と、頼みました。
イタチは、「駄目だね。あんたを放すわけにはいかないよ。なぜって、わたしは生まれつき、鳥は全部敵だと思っているからね」
「おや、よく見て下さい。わたしは鳥ではありません。ネズミですよ」コウモリは翼をたたむと、ネズミによく似ています。
こうしてコウモリは、うまく命拾いしました。
しばらくして、このコウモリはまた地面に落ちて、別のイタチに捕まってしまいました。
「お願いです。わたしを食い殺さないで下さい」
「嫌だよ。わたしはネズミというネズミが、全部嫌いだから」コウモリは、翼を広げると、
「おや、わたしはネズミなんかではありませんよ。ご覧の通り、鳥ですよ」
コウモリは、今度もまた、放してもらいました。
こうしてコウモリは、名前を変える事で二度も命拾いしたのです。
このお話しの様に、危険をまぬがれる為には、その時その時のなりゆきによって、色々と工夫する事が大切です。
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