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花のき村と盗人たち
新美南吉
三
「かしら、ただいま戻(もど)りました。おや、この仔牛(こうし)はどうしたのですか。ははア、やっぱりかしらはただの盗人(ぬすびと)じゃない。おれたちが村(むら)を探(さぐ)りにいっていたあいだに、もうひと仕事(しごと)しちゃったのだね。」
釜右ヱ门(かまえもん)が仔牛(こうし)を见(み)ていいました。かしらは涙(なみだ)にぬれた顔(かお)を见(み)られまいとして横(よこ)をむいたまま、
「うむ、そういってきさまたちに自慢(じまん)しようと思(おも)っていたんだが、じつはそうじゃねえのだ。これにはわけがあるのだ。」
といいました。
「おや、かしら、涙(なみだ)……じゃございませんか。」
と海老之丞(えびのじょう)が声(こえ)を落(お)としてききました。
「この、涙(なみだ)てものは、出(で)はじめると出(で)るもんだな。」
といって、かしらは袖(そで)で眼(め)をこすりました。
「かしら、喜(よろこ)んで下(くだ)せえ、こんどこそは、おれたち四人(にん)、しっかり盗人根性(ぬすっとこんじょう)になって探(さぐ)って参(まい)りました。釜右ヱ门(かまえもん)は金(きん)の茶釜(ちゃがま)のある家(いえ)を五轩(けん)见(み)とどけますし、海老之丞(えびのじょう)は、五つの土蔵(どぞう)の锭(じょう)をよくしらべて、曲(ま)がった钉(くぎ)一本(ぽん)であけられることをたしかめますし、大工(だいく)のあッしは、この锯(のこぎり)で难(なん)なく切(き)れる家尻(やじり)を五つ见(み)て来(き)ましたし、角兵ヱ(かくべえ)は角兵ヱ(かくべえ)でまた、足駄(あしだ)ばきで跳(と)び越(こ)えられる塀(へい)を五つ见(み)て来(き)ました。かしら、おれたちはほめて顶(いただ)きとうございます。」
と刨太郎(かんなたろう)が意気(いき)ごんでいいました。しかしかしらは、それに答(こた)えないで、
「わしはこの仔牛(こうし)をあずけられたのだ。ところが、いまだに、取(と)りに来(こ)ないので弱(よわ)っているところだ。すまねえが、おまえら、手(て)わけして、预(あず)けていった子供(こども)を探(さが)してくれねえか。」
「かしら、あずかった仔牛(こうし)をかえすのですか。」
と釜右ヱ门(かまえもん)が、のみこめないような顔(かお)でいいました。
「そうだ。」
「盗人(ぬすびと)でもそんなことをするのでごぜえますか。」
「それにはわけがあるのだ。これだけはかえすのだ。」
「かしら、もっとしっかり盗人根性(ぬすっとこんじょう)になって下(くだ)せえよ。」
と刨太郎(かんなたろう)がいいました。
かしらは苦笑(にがわら)いしながら、弟子(でし)たちにわけをこまかく话(はな)してきかせました。わけをきいて见(み)れば、みんなにはかしらの心持(こころも)ちがよくわかりました。
そこで弟子(でし)たちは、こんどは子供(こども)をさがしにいくことになりました。
「草鞋(わらじ)をはいた、かわいらしい、七つぐれえの男坊主(おとこぼうず)なんですね。」
とねんをおして、四人(にん)の弟子(でし)は散(ち)っていきました。かしらも、もうじっとしておれなくて、仔牛(こうし)をひきながら、さがしにいきました。
月(つき)のあかりに、野茨(のいばら)とうつぎの白(しろ)い花(はな)がほのかに见(み)えている村(むら)の夜(よる)を、五人(にん)の大人(おとな)の盗人(ぬすびと)が、一匹(ぴき)の仔牛(こうし)をひきながら、子供(こども)をさがして歩(ある)いていくのでありました。
かくれんぼのつづきで、まだあの子供(こども)がどこかにかくれているかも知(し)れないというので、盗人(ぬすびと)たちは、みみずの鸣(な)いている辻堂(つじどう)の縁(えん)の下(した)や柿(かき)の木(き)の上(うえ)や、物置(ものおき)の中(なか)や、いい匂(にお)いのする蜜柑(みかん)の木(き)のかげを探(さが)してみたのでした。人(ひと)にきいてもみたのでした。
しかし、ついにあの子供(こども)は见(み)あたりませんでした。百姓达(ひゃくしょうたち)は提灯(ちょうちん)に火(ひ)を入(い)れて来(き)て、仔牛(こうし)をてらして见(み)たのですが、こんな仔牛(こうし)はこの辺(あた)りでは见(み)たことがないというのでした。
「かしら、こりゃ夜(よ)っぴて探(さが)してもむだらしい、もう止(よ)しましょう。」
と海老之丞(えびのじょう)がくたびれたように、道(みち)ばたの石(いし)に腰(こし)をおろしていいました。
「いや、どうしても探(さが)し出(だ)して、あの子供(こども)にかえしたいのだ。」
とかしらはききませんでした。
「もう、てだてがありませんよ。ただひとつ残(のこ)っているてだては、村役人(むらやくにん)のところへ诉(うった)えることだが、かしらもまさかあそこへは行(い)きたくないでしょう。」
と釜右ヱ门(かまえもん)がいいました。村役人(むらやくにん)というのは、いまでいえば驻在巡査(ちゅうざいじゅんさ)のようなものであります。
「うむ、そうか。」
とかしらは考(かんが)えこみました。そしてしばらく仔牛(こうし)の头(あたま)をなでていましたが、やがて、
「じゃ、そこへ行(い)こう。」
といいました。そしてもう歩(ある)きだしました。弟子(でし)たちはびっくりしましたが、ついていくよりしかたがありませんでした。
たずねて村役人(むらやくにん)の家(いえ)へいくと、あらわれたのは、鼻(はな)の先(さき)に落(お)ちかかるように眼镜(めがね)をかけた老人(ろうじん)でしたので、盗人(ぬすびと)たちはまず安心(あんしん)しました。これなら、いざというときに、つきとばして逃(に)げてしまえばいいと思(おも)ったからであります。
かしらが、子供(こども)のことを话(はな)して、
「わしら、その子供(こども)を见失(みうしな)って困(こま)っております。」
といいました。
老人(ろうじん)は五人(にん)の顔(かお)を见(み)まわして、
「いっこう、このあたりで见受(みう)けぬ人(ひと)ばかりだが、どちらから参(まい)った。」
とききました。
「わしら、江戸(えど)から西(にし)の方(ほう)へいくものです。」
「まさか盗人(ぬすびと)ではあるまいの。」
「いや、とんでもない。わしらはみな旅(たび)の职人(しょくにん)です。釜师(かまし)や大工(だいく)や锭前屋(じょうまえや)などです。」
とかしらはあわてていいました。
「うむ、いや、変(へん)なことをいってすまなかった。お前达(まえたち)は盗人(ぬすびと)ではない。盗人(ぬすびと)が物(もの)をかえすわけがないでの。盗人(ぬすびと)なら、物(もの)をあずかれば、これさいわいとくすねていってしまうはずだ。いや、せっかくよい心(こころ)で、そうして届(とど)けに来(き)たのを、変(へん)なことを申(もう)してすまなかった。いや、わしは役目(やくめ)がら、人(ひと)を疑(うたが)うくせになっているのじゃ。人(ひと)を见(み)さえすれば、こいつ、かたりじゃないか、すりじゃないかと思(おも)うようなわけさ。ま、わるく思(おも)わないでくれ。」
と老人(ろうじん)はいいわけをしてあやまりました。そして、仔牛(こうし)はあずかっておくことにして、下男(げなん)に物置(ものおき)の方(ほう)へつれていかせました。
「旅(たび)で、みなさんお疲(つか)れじゃろ、わしはいまいい酒(さけ)をひとびん西(にし)の馆(やかた)の太郎(たろう)どんからもらったので、月(つき)を见(み)ながら縁侧(えんがわ)でやろうとしていたのじゃ。いいとこへみなさんこられた。ひとつつきあいなされ。」
ひとの善(よ)い老人(ろうじん)はそういって、五人(にん)の盗人(ぬすびと)を縁侧(えんがわ)につれていきました。
そこで酒(さけ)をのみはじめましたが、五人(にん)の盗人(ぬすびと)と一人(ひとり)の村役人(むらやくにん)はすっかり、くつろいで、十年(ねん)もまえからの知(し)り合(あ)いのように、ゆかいに笑(わら)ったり话(はな)したりしたのでありました。
するとまた、盗人(ぬすびと)のかしらはじぶんの眼(め)が涙(なみだ)をこぼしていることに気(き)がつきました。それを见(み)た老人(ろうじん)の役人(やくにん)は、
「おまえさんは泣(な)き上戸(じょうご)と见(み)える。わしは笑(わら)い上戸(じょうご)で、泣(な)いている人(ひと)を见(み)るとよけい笑(わら)えて来(く)る。どうか悪(わる)く思(おも)わんでくだされや、笑(わら)うから。」
といって、口(くち)をあけて笑(わら)うのでした。
「いや、この、涙(なみだ)というやつは、まことにとめどなく出(で)るものだね。」
とかしらは、眼(め)をしばたきながらいいました。
それから五人(にん)の盗人(ぬすびと)は、お礼(れい)をいって村役人(むらやくにん)の家(いえ)を出(で)ました。
门(もん)を出(で)て、柿(かき)の木(き)のそばまで来(く)ると、何(なに)か思(おも)い出(だ)したように、かしらが立(た)ちどまりました。
「かしら、何(なに)か忘(わす)れものでもしましたか。」
と刨太郎(かんなたろう)がききました。
「うむ、忘(わす)れもんがある。おまえらも、いっしょにもういっぺん来(こ)い。」
といって、かしらは弟子(でし)をつれて、また役人(やくにん)の家(いえ)にはいっていきました。
「御老人(ごろうじん)。」
とかしらは縁侧(えんがわ)に手(て)をついていいました。
「何(なん)だね、しんみりと。泣(な)き上戸(じょうご)のおくの手(て)が出(で)るかな。ははは。」
と老人(ろうじん)は笑(わら)いました。
「わしらはじつは盗人(ぬすびと)です。わしがかしらでこれらは弟子(でし)です。」
それをきくと老人(ろうじん)は眼(め)をまるくしました。
「いや、びっくりなさるのはごもっともです。わしはこんなことを白状(はくじょう)するつもりじゃありませんでした。しかし御老人(ごろうじん)が心(こころ)のよいお方(かた)で、わしらをまっとうな人间(にんげん)のように信(しん)じていて下(くだ)さるのを见(み)ては、わしはもう御老人(ごろうじん)をあざむいていることができなくなりました。」
そういって盗人(ぬすびと)のかしらは今(いま)までして来(き)たわるいことをみな白状(はくじょう)してしまいました。そしておしまいに、
「だが、これらは、昨日(きのう)わしの弟子(でし)になったばかりで、まだ何(なに)も悪(わる)いことはしておりません。お慈悲(じひ)で、どうぞ、これらだけは许(ゆる)してやって下(くだ)さい。」
といいました。
次(つぎ)の朝(あさ)、花(はな)のき村(むら)から、釜师(かまし)と锭前屋(じょうまえや)と大工(だいく)と角兵ヱ狮子(かくべえじし)とが、それぞれべつの方(ほう)へ出(で)ていきました。四人(にん)はうつむきがちに、歩(ある)いていきました。かれらはかしらのことを考(かんが)えていました。よいかしらであったと思(おも)っておりました。よいかしらだから、最後(さいご)にかしらが「盗人(ぬすびと)にはもうけっしてなるな。」といったことばを、守(まも)らなければならないと思(おも)っておりました。
角兵ヱ(かくべえ)は川(かわ)のふちの草(くさ)の中(なか)から笛(ふえ)を拾(ひろ)ってヒャラヒャラと鸣(な)らしていきました。
这时,四个徒弟一起回来了。
“头儿,我回来了!哎呀,牛犊子!哈哈,我们的头儿真有两手,就这么一会儿功夫,已经做成一笔买卖了!”釜右卫门盯着牛犊子,惊喜地嚷道。
头儿怕徒弟们看到他的泪水,忙把脸转到一边。
“哎呀,头儿!你怎么流泪了?”海老之丞问。
“这个……眼泪这东西,流起来就没完……”头儿说着,用袖子擦了擦眼睛。
“听好吧,头儿!我们四个人这次可是用盗贼的眼睛看准了。釜右卫门发现五家有金茶锅。海老之丞看好了五家仓库的锁,用根弯钉就能打开。我这个木匠,也摸清五家房后的板壁很容易锯开。角兵工也不孬,发现五家的围墙,穿高底木头鞋就能跳进去。头儿,这回该表扬我们了吧?”
鲍太郎神气十足地说着,不料头儿却答非所问:
“这牛犊是一个孩子要我替他照看的,可是到现在他还没来领。你们出去看看,能不能把那孩子找回来。”
“头儿,你要把牛犊送回去?”釜右卫门有些纳闷儿。
“对,是这么回事!”
“盗贼也干这种事情吗?”
“那是有缘由的,无论如何也得送还。”
“头儿,别忘了我们盗贼的本性啊!”鲍太郎说。
头儿苦笑着把事情的原委讲了一番。徒弟们终于领会了他的意思,同意去找那个孩子。他们边走边默念着:
“穿草鞋的、可爱的、七岁左右的男孩。”
在月色笼罩的村子里,影影绰绰可以看见野蔷薇和山楂树的白花,五个盗贼牵着一头牛犊走着。他们走过路旁的佛堂,走过柿子树下的库房,到处打听、寻找着。村民有的点上手提灯,仔细照了照小牛犊,都说从未见过。
“头儿,深更半夜了,还这样找下去,恐怕是没有用了,拉倒吧!”锁匠海老之丞疲倦地坐到路旁的石头上说。
“不,无论如何也得找,非还给那个孩子不可!”头儿说。
“没办法了,除非是到村公务员那儿去问问。可是头儿,你决不会到那里去吧?”釜右工门说。按现在的说法,村公务员就是驻在该村的保安人员。
“嗯,是吧?”头儿沉思了一会儿,抚摩着小牛犊的头说,“好,就去那儿吧!”徒弟们很吃惊,但也只好跟在后面。
打听到村公务员家,盗贼们发现,公务员是一位戴眼镜的老人,他那副老花镜都快要从鼻梁上掉下来了。几个徒弟这才放心了。心想:照这样看,如果出什么问题,把老头推倒撒腿就跑,也来得及。
头儿说明了来意后,老人把五个人的脸都打量了一番。
“你们五个人我怎么从未见过呢?是从哪儿来的呀?”老人问,“是不是盗贼?”
“不,怎么能说些没影的话!我们是走江湖的手艺人,造锅匠、木匠和修锁匠……”头儿慌忙回答。
“嗯,你们不是盗贼!盗贼是不会送还东西的!实在对不起了,你们一片好心把牛犊送到这儿来,我还说些怪活。真是当官差当惯了,养成了怀疑人的毛病,只要看到生疏的人,就怀疑他是不是骗子、掏包的。好吧,千万不要见怪!”
老人解释了一番,再次向他们道歉,把牛犊收下,叫仆人把它送到仓库那边去。
“走江湖都累了吧?我刚才从西边的公馆太郎先生那儿弄来一瓶好酒,本想在房檐下赏月时喝,你们来了正好,咱们一起喝,交个朋友怎样?”这位行善的老人说着,把五个盗贼领到房檐下的走廊上。
夜色中,五个盗贼和公务员一起开怀畅饮,就像有十多年交情的老朋友那样有说有笑。忽然,盗贼头儿鼻子一酸,眼睛又湿润了。
看到这情景,老人说:“我看你是爱哭的能手。我可是爱笑的人,看到有人哭,就格外想笑,你可不要见怪!”说着,他张嘴笑起来。
“唉!眼泪实在是止不住地往外流啊!”头儿眨巴着眼睛说。
最后,五个盗贼起身向老人道谢一番,告辞了。走到路旁的柿子树下,头儿好像又想起什么似地停住了脚。鲍太郎问:
“头儿,你忘了什么东西吧?”
“嗯!忘东西了,你们和我一起再回去一趟。”说完,领着徒弟又回到公务员家。
“老先生!”头儿手扶着房檐下面的台子说。
老人笑着问:
“怎么啦?显出一脸难过的样子,要把爱哭的秘密告诉我吗?哈哈……”
“老先生,我不能不跟您说实活,我们这些人都是盗贼。”
老人听了这活,吃惊地瞪大了眼睛。
“老先生,您惊讶是有道理的。我本来不想把实情告诉您,可是您老人家是好心人,看到您把我们当正派人看待,我就没法欺骗您老人家了。”
盗贼头儿把自己过去干的坏事全都坦白了,最后请求说:
“他们四人是昨天刚刚入伙成为我的徒弟的,还没做什么坏事,请您大发慈悲,饶恕他们吧!”
第二天早晨,锅匠、锁匠、木匠和小艺人都离开花木村,各奔他乡了。四个人低头走着,想着头儿这次的所作所为,认为头儿确实是一个好人。他们想起头儿在分手时说的话:
“以后绝不能当盗贼了!”
“这句话一定得遵守到底啊!”角兵卫从河边草地上捡起笛子,呜呜地吹着走了。
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