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中日对照——过雪地(日语)

发表时间:2012/2/3 14:16:33 来源:互联网 点击关注微信:关注中大网校微信
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 雪渡り

宫沢贤治

雪渡り その一(小狐(こぎつね)の绀三郎(こんざぶろう))

雪がすっかり冻(こお)って大理石よりも坚(かた)くなり、空も冷たい滑(なめ)らかな青い石の板で出来ているらしいのです。

「坚雪(かたゆき)かんこ、しみ雪しんこ。」

お日様がまっ白に燃えて百合(ゆり)の匂(におい)を撒(ま)きちらし又(また)雪をぎらぎら照らしました。

木なんかみんなザラメを挂(か)けたように霜(しも)でぴかぴかしています。

「坚雪かんこ、冻(し)み雪しんこ。」

四郎とかん子とは小さな雪沓(ゆきぐつ)をはいてキックキックキック、野原に出ました。

こんな面白(おもしろ)い日が、またとあるでしょうか。いつもは歩けない黍(きび)の畑の中でも、すすきで一杯(いっぱい)だった野原の上でも、すきな方へどこ迄(まで)でも行けるのです。平らなことはまるで一枚の板です。そしてそれが沢山(たくさん)の小さな小さな镜のようにキラキラキラキラ光るのです。

「坚雪かんこ、冻み雪しんこ。」

二人は森の近くまで来ました。大きな柏(かしわ)の木は枝(えだ)も埋(うず)まるくらい立派な透(す)きとおった氷柱(つらら)を下げて重そうに身体(からだ)を曲げて居(お)りました。

「坚雪かんこ、冻み雪しんこ。狐の子ぁ、嫁(よめい)ほしい、ほしい。」と二人は森へ向いて高く叫(さけ)びました。

しばらくしいんとしましたので二人はも一度叫ぼうとして息をのみこんだとき森の中から

「冻み雪しんしん、坚雪かんかん。」と云(い)いながら、キシリキシリ雪をふんで白い狐の子が出て来ました。

四郎は少しぎょっとしてかん子をうしろにかばって、しっかり足をふんばって叫びました。

「狐こんこん白狐、お嫁ほしけりゃ、とってやろよ。」

すると狐がまだまるで小さいくせに银の针のようなおひげをピンと一つひねって云いました。

「四郎はしんこ、かん子はかんこ、おらはお嫁はいらないよ。」

四郎が笑って云いました。

「狐こんこん、狐の子、お嫁がいらなきゃ饼(もち)やろか。」

すると狐の子も头を二つ三つ振(ふ)って面白そうに云いました。

「四郎はしんこ、かん子はかんこ、黍の団子をおれやろか。」

かん子もあんまり面白いので四郎のうしろにかくれたままそっと歌いました。

「狐こんこん狐の子、狐の団子は兎(うさ)のくそ。」

すると小狐绀三郎が笑って云いました。

「いいえ、决してそんなことはありません。あなた方のような立派なお方が兎(うさぎ)の茶色の団子なんか召(め)しあがるもんですか。私らは全体いままで人をだますなんてあんまりむじつの罪をきせられていたのです。」

四郎がおどろいて寻(たず)ねました。

「そいじゃきつねが人をだますなんて伪(うそ)かしら。」

绀三郎が热心に云いました。

「伪ですとも。けだし最もひどい伪です。だまされたという人は大抵(たいてい)お酒に酔(よ)ったり、臆病(おくびょう)でくるくるしたりした人です。面白いですよ。甚兵卫(じんべえ)さんがこの前、月夜の晩私たちのお家(うち)の前に坐(すわ)って一晩じょうるりをやりましたよ。私らはみんな出て见たのです。」

四郎が叫びました。

「甚兵卫さんならじょうるりじゃないや。きっと浪花(なにわ)ぶしだぜ。」

子狐绀三郎はなるほどという顔をして、

「ええ、そうかもしれません。とにかくお団子をおあがりなさい。私のさしあげるのは、ちゃんと私が畑を作って播(ま)いて草をとって刈(か)って叩(たた)いて粉にして练ってむしてお砂糖をかけたのです。いかがですか。一皿(さら)さしあげましょう。」

と云いました。

と四郎が笑って、

「绀三郎さん、仆らは丁度いまね、お饼をたべて来たんだからおなかが减らないんだよ。この次におよばれしようか。」

子狐の绀三郎が嬉(うれ)しがってみじかい腕(うで)をばたばたして云いました。

「そうですか。そんなら今度幻灯会(げんとうかい)のときさしあげましょう。幻灯会にはきっといらっしゃい。この次の雪の冻った月夜の晩です。八时からはじめますから、入场券をあげて置きましょう。何枚あげましょうか。」

「そんなら五枚お呉(く)れ。」と四郎が云いました。

「五枚ですか。あなた方が二枚にあとの三枚はどなたですか。」と绀三郎が云いました。

「兄さんたちだ。」と四郎が答えますと、

「兄さんたちは十一歳以下ですか。」と绀三郎が又寻ねました。

「いや小兄(ちいにい)さんは四年生だからね、八つの四つで十二歳。」と四郎が云いました。

すると绀三郎は尤(もっと)もらしく又おひげを一つひねって云いました。

「それでは残念ですが兄さんたちはお断わりです。あなた方だけいらっしゃい。特别席をとって置きますから、面白いんですよ。幻灯は第一が『お酒をのむべからず。』これはあなたの村の太右卫门(たえもん)さんと、清作さんがお酒をのんでとうとう目がくらんで野原にあるへんてこなおまんじゅうや、おそばを喰(た)べようとした所です。私も写真の中にうつっています。第二が『わなに注意せよ。』これは私共のこん兵卫(べえ)が野原でわなにかかったのを画(か)いたのです。絵です。写真ではありません。第三が『火を軽べつすべからず。』これは私共のこん助があなたのお家(うち)へ行って尻尾(しっぽ)を焼いた景色です。ぜひおいで下さい。」

二人は悦(よろこ)んでうなずきました。

狐(きつね)は可笑(おか)しそうに口を曲げて、キックキックトントンキックキックトントンと足ぶみをはじめてしっぽと头を振ってしばらく考えていましたがやっと思いついたらしく、両手を振って调子をとりながら歌いはじめました。

「冻(し)み雪しんこ、坚雪かんこ、

野原のまんじゅうはポッポッポ。

酔ってひょろひょろ太右卫门が、

去年、三十八、たべた。

冻み雪しんこ、坚雪かんこ、

野原のおそばはホッホッホ。

酔ってひょろひょろ清作が、

去年十三ばいたべた。」

四郎もかん子もすっかり钓(つ)り込(こ)まれてもう狐と一绪(いっしょ)に踊(おど)っています。

キック、キック、トントン。キック、キック、トントン。キック、キック、キック、キック、トントントン。

四郎が歌いました。

「狐こんこん狐の子、去年狐のこん兵卫が、ひだりの足をわなに入れ、こんこんばたばたこんこんこん。」

かん子が歌いました。

「狐こんこん狐の子、去年狐のこん助が、焼いた鱼を取ろとしておしりに火がつききゃんきゃんきゃん。」

キック、キック、トントン。キック、キック、トントン。キック、キック、キック、キックトントントン。

そして三人は踊りながらだんだん林の中にはいって行きました。赤い封蝋(ふうろう)细工のほおの木の芽が、风に吹(ふ)かれてピッカリピッカリと光り、林の中の雪には蓝色(あいいろ)の木の影(かげ)がいちめん网(あみ)になって落ちて日光のあたる所には银の百合(ゆり)が咲いたように见えました。

すると子狐绀三郎が云いました。

「鹿(しか)の子もよびましょうか。鹿の子はそりゃ笛(ふえ)がうまいんですよ。」

四郎とかん子とは手を叩いてよろこびました。そこで三人は一绪に叫びました。

「坚雪かんこ、冻み雪しんこ、鹿(しか)の子ぁ嫁ぃほしいほしい。」

すると向うで、

「北风ぴいぴい风三郎、西风どうどう又三郎」と细いいい声がしました。

狐の子の绀三郎がいかにもばかにしたように、口を尖(とが)らして云いました。

「あれは鹿の子です。あいつは臆病ですからとてもこっちへ来そうにありません。けれどもう一遍(いっぺん)叫んでみましょうか。」

そこで三人は又叫びました。

「坚雪かんこ、冻み雪しんこ、しかの子ぁ嫁(よめい)ほしい、ほしい。」

すると今度はずうっと远くで风の音か笛の声か、又は鹿の子の歌かこんなように闻えました。

「北风ぴいぴい、かんこかんこ

西风どうどう、どっこどっこ。」

狐(きつね)が又ひげをひねって云いました。

「雪が柔(やわ)らかになるといけませんからもうお帰りなさい。今度月夜に雪が冻ったらきっとおいで下さい。さっきの幻灯をやりますから。」

そこで四郎とかん子とは

「坚雪かんこ、冻み雪しんこ。」と歌いながら银の雪を渡っておうちへ帰りました。

「坚雪かんこ、冻み雪しんこ。」

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